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〜昨日のつづき〜 20180905

表面的には、結婚に対するリターンの効果が大きく減少してることに対して、驚きはない。というのも、ここ25年のアメリカの賃金構造は急激に変化したからである。黒人白人間の賃金の差が拡大したのは、観測要因、非観測要因の双方に対して支払われる賃金プレミアムの増加による。女性の相対的なスキルレベルの変化が1980年代の男女間の賃金格差の減少の説明として提供されている。結婚賃金プレミアムが計測されない人的資本効果を捉えているならば、他の形式の人的資本投資に対するリターンは加速しているのにも関わらずこのプレミアムは減少しているということは興味深い事実である。本稿では、白人男性の結婚リターンの減少の因果関係について調べている。結婚プレミアムの存在についての二つの別の説明、専門化仮説と選択仮説が調べられている。専門化仮説は、男性が労働市場での活動に集中することができるようになるので、より生産的になると主張している。結婚賃金プレミアムが家庭の専門化に起因しているのであれば、結婚した女性の労働市場への参加が増加していることは、多くの男性にとっての結婚へのリターンを減退させることになる。彼らが妻の労働市場の参加によって、エネルギーを家庭内生産に集中させるならば。セレクションアーギュメントは結局、労働市場で価値ある属性を身につけている男性は、結婚市場でもまた価値があると主張する。その主張によれば、結婚が観測されないスキルを向上させるのではなく、観測されない高スキルを身につけているものが、結婚を選択するのである。近年の結婚を遅らせるトレンドは、おそらく高い可能性で結婚する個人のタイプに影響を与えうる。特にこのトレンドが、結婚しないことと結びついてきた社会的不名誉が消えつつあるために、男性の結婚する意欲の大幅な減退を反映しているのであれば、男性はますます結婚マーケットに縛り付けられ、女性は結婚の意思決定において、あまり自由とは言えない状況になるかもしれない。そんな行動は結婚していない男性と比較して結婚している男性の平均的な観測できない要因の減少と結びついているだろう。そして結婚賃金プレミアムが減少するのである。

 本稿では、結婚賃金プレミアムと近年の減少傾向を説明する中で、専門化と選択の相対的長所を実証する。これらの競合する仮説をテストするために、NLS,NLSYからサンプルが得られている。長期的な調査が、結婚や労働市場のアウトカムに影響を与える個人の異質性をコントロールする固定効果推定を可能にしている。この調査による2地点の調査が、専門化あるいは結婚選択の変化が近年の結婚賃金プレミアムの減少を説明できるかどうか、についての調査を可能にする。二つのサンプル間の固定効果推定値の変化は、結婚の生産性効果の変化を特定する。クロスセクションと固定効果推定の差が変化することは結婚選択効果の変化を分離する。以下のセクションでは、結婚賃金プレミアムとその近年の減少に関連する先行研究の簡単なリビューを行なって行く。第3章では、本研究で利用される二つのデータをより詳細に、また記述統計も示す。四章で実証方法と結果、最後に結論を述べる。