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本ブログに記載されている内容は個人的見解です。

家事をするか、働くか、男性と女性の賃金の違い

本記事では、1975年にJournal of Human Resourceに掲載された「Potential Biased in Measuring Male-Female Discrimination」のレビューを行う。

 

筆者であるPolachekは、男女の賃金差異(gender wage gap)に関する研究は数多くなされてきたが、男女差別という要因を考慮した研究は未だ少ないと述べている。これまでの研究において、男女の賃金の差異は職種や生涯における労働参加の傾向が異なるというような要因によって生じるとされてきた。これらの要因の効果は教育年数・勤続年数・年齢などをコントロールすることによって明らかにされてきたが、Polachekは男女差別という要因が無視され、それらの効果にはバイアスが生じている可能性があると指摘している。

 

男女の賃金に差異が生じるのは男女の賃金決定に対して構造的な問題があるからである。その構造的な問題を指摘するために以下のようなモデルを設定する。まず世帯には家事という家庭内労働と通常の労働である家庭外労働が存在する。特に結婚した夫婦によって営まれる家庭においては、男女それぞれの労働力を家庭内労働、家庭外労働にいかに分配するかという問題が存在する。そこで、このような家庭における労働分配が男女の家庭外労働に分配する労働力に差異を生み、男女の労働への人的投資行動を変化させるというモデルを設定し、このモデルが有効かどうか実証する。

 

Potential Biases in Measuring Male-Female Discrimination
Author(s): Solomon William Polachek
Source: The Journal of Human Resources, Vol. 10, No. 2 (Spring, 1975), pp. 205-229