世界最先端のマーケティング 20180809
以下の記事は"世界最先端のマーケティング 日経BP社"を読んだ後に書いたものである。六本木一丁目から、六本木へ歩く。交差点を少し過ぎると六本木ヒルズがあるが、そこにはファストファッション業界の王者、インディテックスの基幹ブランドZARAがある。ユニクロを基幹ブランドとするファーストリテイリングによれば、2018年1月決算期における売上高は3.33兆円である。以下の図1を見れば、ZARAの強さは圧倒的である。
図1
このように全世界の王者として君臨するZARAであるが、ZARA ROPPONGIはその理由を物語る。この店舗では、ZARAのアプリで、試着したい商品を入力する。すると店員さんがその商品を準備してくれ、試着ができる。気に入れば、その場でも自宅でも、アプリを通じて購入することが可能である(店舗での購入はできない)。ZARAは、店舗で選択し、アプリを通じて購入する、といったようなオフライン(店舗) × オンライン(アプリ)の購買体験を提供しているのである。
従来は、ZARAの服を買うためには、ZARAの店舗に行き、試着(選択)をし、そしてその場で購入する必要があった。オフライン(店舗) × オフライン(店舗)の購買体験である。そしてEコマースの普及により、オンラインで選択・購入ができるようになった。このためZARAをはじめとして多くの企業が、顧客にオンラインで商品を供給するようになった。しかし、オンライン × オンラインは既に最も新しいものではなくなった。現在、ZARAのオフライン(店舗) × オンライン(アプリ)のように、顧客へクロスチャネルを敷いている企業で最も巨大な企業はAmazonである。
現在、AmazonはAmazon Dashというボタンを発売している。このボタンを押せば商品が注文され、到着する(図2)。
図2
図2を見ればお分りいただけると思うが、このボタンを押せばアリエールが自宅にすぐ届く。これは自宅という店舗の中で、Amazonのアカウントを通じて購入するという、オフライン(店舗) × オンライン(Amazon)の購買体験である。
Amazonは、このようなクロスチャネルを利用した顧客体験によって、さらに発展するであろう。ただAmazonを発展させた最も大きな要因の一つはAmazonプライム会員制度であろう。プライム会員に関しては、そうでない顧客に比べて低価格で商品を購入できる。この会員であるか、そうでないかによって商品の価格を変化させることを経済学の用語で第3級価格差別という。Amazonがある市場で独占している状況であれば、この価格差別によって、利潤を拡大することができる。
明日はその第3級価格差別について、簡単にまとめてみようと思う。
各社のアニュアルレポートより