tmp

本ブログに記載されている内容は個人的見解です。

20180805

育児時間が男性の賃金に与える影響

  • 先行研究

The effects of sons and daugters on men's labor supply and wages

  1. Intro

 この研究では、子どもが父親の賃金や働く時間にどのような影響を与えるのかを調べている。PSID(Panel Study of Income Dynamics)のデータを用いて推定した結果、子供1人は平均的に男性の

賃金を4.2%

年間の労働時間を38分

増加させる、ということがわかった。また子どもの性別によって、賃金・労働時間の変化が異なる、つまり

女の子より男の子の方が、より賃金・労働時間を増加させる

ということも明らかになった。

 なぜ、これまでこのテーマが研究されてこなかったのだろうか。その理由は、育児を行うのは男性ではなく、女性の役割であるという固定観念にある。男性は子どもが生まれたとしても育児を女性に任せるため、子どもの存在によって労働に対する意思決定を変化させない。結果として子どもがいることは、男性の賃金や労働時間に影響はないと考えられてきた。しかし昨今、子どもと男性の労働の研究に注目が集まっているのは、働く女性が増加し、育児にかける時間が減少したことで、その固定観念に変化があらわれ始めたからである。女性の就業者数の増加を見てみると、平成24年~28年にかけて男性の就業者数は23万人の増加であることに対し、女性は147万人も増加している *1。さらに、女性のM字カーブ( *図1)は、底の部分が上昇し窪みが少ないM字になっている。就業者数が増えているということは、仕事に出かけるお母さんが増加し、育児時間が減少しているということである。このように男性が育児をしなければならない状況が生まれ、それは労働のアウトカム(賃金・労働時間)に影響を与えるであろう、と考えられるようになったのだ。

図1

f:id:noap3b69n:20180805202519p:plain

 

 

*1 男女共同参画白書 平成29年版

*2 男女共同参画白書 平成25年版